レベル別の ストーリーに、 音声を 付けた 理由
カンヨミの読みものは、今のご自身のレベルで読むことのできる短いストーリーです。TOPIKの級別の単語と文法で書いているので、出てくる単語はほとんどが知っているはずの単語です。リストにない単語には解説が付いています。音声付きの読みものは、音声を聞きながら読めます。私自身も韓国語を勉強している途中です。読みものは、自分が欲しかったものを作りました。
言葉を 理解してから 話す
今の自分のレベルより少し難しい韓国語を理解することで、言葉が身についていきます。Krashenの本にある考え方です。「話せるようになるのは、理解できるものが自分の中でたまってからだ」、とも書いています。「早い時期に無理に話そうとすると、まだ習っていない部分を日本語の文法のまま話してしまう」、という別の研究者の説も紹介しています。
ただ、理解するだけでは足りない、という指摘もあります。理解できるインプットと、相手に伝わるアウトプットの両方が必要だ、という考え方です。覚えた表現を自分で実際に使ってみると、意味を追うだけの読み方から、語順や文法を理解しながら読むように変わります。それがアウトプットの役割です。
「練習」という言葉は、語学の研究ではあまり好まれません。DeKeyserという研究者は、その理由をこう説明しています。スポーツや楽器では、練習しなければ上手にならないことを誰も疑いません。ところが語学で「練習」というと、同じ文を何度も繰り返して言わせる、昔ながらの訓練を思い浮かべる人が多いのです。そのため、何をどう練習すれば力がつくのかは、あまり研究されてきませんでした。カンヨミの読みものは、その「練習」の中身を1つに絞ったものです。知っている単語で書かれたストーリーを読み、同じ文を音声で聞く。話す練習の前に、読んで聞いて理解する練習に時間をかけます。
単語リストの 中で 書く 理由
辞書なしで読むには、出てくる単語のどのくらいを知っていればいいのか。Nationという研究者がまとめた数字があります。知っている単語が95%でも、十分に読めた人は少数でした。多くの人が十分に読むには98%、つまり知らない単語は50語に1語くらい、という計算です。80%では、読めた人はいなかった、という結果でした。
カンヨミの読みものには、日本語訳と解説が付いています。タップすれば、訳も単語の解説もその場で読めます。それでも、知らない単語が多いと、タップばかりで読み進められません。そこで、読みもののレベルの単語リストにない単語は、多くても5〜8%に抑えています。リストにない単語には、必ず解説を付けています。どのレベルから読むかは、韓国語レベルチェックで確かめてみてください。
ドラマは、知っている単語が半分くらいしかなくても、どんどん先に進んでしまいます。知らない単語が多いほど、ついていけなくなります。
日本人は、知っている単語の割合を上げやすい、有利な立場にいます。「약속」は「約束」で、音も意味も近い。「은/는」「이/가」「을/를」は、日本語の「は」「が」「を」にだいたい重なります。読みもの地下鉄の駅を通り過ぎましたの「오늘 아침에 약속이 있어서 지하철을 탔어요.(今朝、約束があって地下鉄に乗りました)」は、漢字語と助詞がそのまま手がかりになります。英語で韓国語を学ぶ人には、この手がかりがありません。
音声の 使い方
Nationは、聞く場合についても言及しています。話し言葉はよく使う単語に偏っています。それでも、会話やドラマの音声は聞き逃しても戻れないので、98%より高い割合が必要かもしれない、という指摘です。
カンヨミの音声は、何度でも聞き直せますし、ゆっくり再生もできます。読んでから聞いても、聞いてから読んでも、どちらでも大丈夫です。読んでから聞くと、文字で見た区切りが音でも聞き取れるかを確かめられます。ドアに貼られたメモの「읽어 보니까(読んでみたら)」は、文字なら「읽어」と「보니까」の2語に分かれて見えますが、音だけだと1つのかたまりに聞こえます。聞いてから読むと、聞き取れなかったところが文字で分かります。音声付きの読みものには、聞いて書き取るディクテーションもあります。
読んで分かった韓国語を、耳でも分かるようにする。音声を付けたのは、そのためです。読みものを読み終えたら、同じ話を音声でも一度聞いてみてください。
参考に した 資料
- Krashen, S. (1982). *Principles and Practice in Second Language Acquisition*, pp. 20–22, 27
- Swain, M. (1985). Communicative competence: Some roles of comprehensible input and comprehensible output in its development. In S. M. Gass & C. G. Madden (Eds.), *Input in Second Language Acquisition* (pp. 235–253). Newbury House. Passages at pp. 248–249, 252. WorldCat
- DeKeyser, R. M. (Ed.). (2007). *Practice in a Second Language*, Introduction, p. 1
- Nation, I. S. P. (2006). How large a vocabulary is needed for reading and listening?, pp. 61, 77
- Nation, I. S. P. *What do you need to know to learn a foreign language?*, Chapter 3, p. 17
- 音が近い漢字語